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【宮本茂デザイン論】マリオがヒゲのオヤジになった理由【解説】

むすめ

マリオってなんでヒゲのおじさんなの?

おや

確かに・・世界的に愛されてるキャラクターが小太りなヒゲのおじさんって不思議だな?

改めて考えてみると不思議ですよね?このページではそういった疑問にお答えします。

本記事で分かる内容
  1. マリオのデザイン(ヒゲ・帽子・オーバーオール)の理由がわかる
  2. マリオの生みの親、宮本茂さんのデザイン論が学べる

結論から言うと、マリオのデザインは生みの親である宮本茂さんが専攻していたインダストリアルデザイン(工業デザイン)にもとづいて考えられています。

では、世界中で愛される日本を代表するキャラクター『マリオ』がどのように生み出されたか?解説して行きます!

マリオがヒゲのオヤジになった理由


初代マリオは当時の容量の問題で16×16のドット絵で作らなくてはいけませんでした。
その中できちんとしたキャラの顔を描こうとすると、圧倒的にドットが足りなくなります。

当時の海外ゲームは、リアルに人のキャラクターを描くために8〜6等身で作ることが多く、顔には2ドットしか使えないような状態だったそうです。

そんなキャラクターの造形に疑問を感じていた宮本茂さんが、少ない容量の中でキャラクターの顔がわかるように工夫し描いた結果、ヒゲオヤジのマリオがつくられました。

それでは各パーツがどのような考えて作られたか、見ていきましょう!

マリオのヒゲ

ヒゲを描いたのは口を描かなくていいからです。利点はデザイン面と機能面の2点あります。

ヒゲをつけた利点

  • デザイン面:ヒゲを描くことで、鼻の下と口を省略できる
  • 機能面:キャラクターがどっちを向いているか、わかりやすくなる

わかりやすいように、下記画像で説明しますね。

マリオの帽子

帽子を被せると髪の毛を描かなくていいからです。
それなら、つるっぱげでもいいので?はと思いますが、ヒゲと同じように利点があります。

帽子を被せた利点

  • デザイン面①:帽子を被せることで、髪の毛を省略できアニメーションもいらない
  • デザイン面②:帽子の下に目があっても不自然ではないので、額の部分を描かなくていい
  • 機能面:帽子のツバでキャラクターがどっちを向いているか、わかりやすくなる

こちらも画像で説明。

マリオのオーバーオール

腕と体の色がわけれる服を探した結果、オーバーオールになりました。

走るアニメーションは3パターンしか使えなかったので、動きをわかりやすくする為に腕と体の色を分ける必要があったからです。他にも利点があるので下記にまとめますね。

オーバーオールを着た利点

  • デザイン面①:残りの9ドットで体を描くのに、上着とズボンをわけなくていい
  • デザイン面②:腕と体の境目がわかりやすい
  • デザイン面③:舞台が建設現場なのでちょうど世界観にマッチした(大工さんとして)
  • 機能面:腕と体の色がわけれるので、走るアニメーションがわかりやすくなる

こちらも画像で説明。

思った以上に中年ですね。

せっかくなのでスーパーマリオ1-1ステージに置いてみます。

これだと、売れてない・・まるで、中年インワンダーランドですね。

マリオの名前の由来


ついでに、『マリオ』の由来にもお答えします。

マリオの名付親はアメリカ任天堂(NOA)の社員の方です。NOAの倉庫番として働いていたイタリア系アメリカ人「マリオ・セガール(故人)」さんの顔がマリオに似ていたので、そこから名付けられました。

宮本茂さんは、「マリオ」と名付けられる前は「ミスター・ビデオ」と呼んでいました。
映画監督のヒッチコックやマンガ家の手塚治虫・赤塚不二夫が同じキャラをいろんな作品に登場させるように、自分がつくる全部のビデオゲームに、このキャラを登場させようと思っていたそうです。

宮本茂流デザイン論


上記で解説してきたとおり、「マリオ」はデザイン面だけでなく機能面も考えて作られています。

これは、宮本茂さんが金沢美術工芸大学でインダストリアルデザイン(工業デザイン)を専攻していたことが大きく影響しています。

まず、インダストリアルデザイン(工業デザイン)について説明しますね。

宮本茂が学んだインダストリアルデザイン(工業デザイン)とは?

大量生産(自動車、カメラ、文房具など)されるような工業製品のカタチをデザインします。

美術品や高価な一点物の商品とはちがい、コストや設計条件など様々な制約の中で機能性とデザイン性の両方を重視した製品のカタチを追求しなけれないけません。

少し話がズレますが、怪談話で同じみの稲川淳二さんも工業デザイナーです。
「バーコードリーダー」や「新幹線の検札機」、グッドデザイン賞を受賞した「車どめ」などを手がけました。なんとなく工業デザインの役割が想像できるかなと思います。

宮本茂流デザイン論で生み出した敵キャラ

宮本茂さんが学んだインダストリアルデザインは、マリオに登場する敵キャラにも生かされています。下記にまとめますね。

敵キャラのデザイン

  • ノコノコ・・カメがひっくり返って動き出すまでを、中身が飛び出して甲羅に戻るまでの動きでわかるようにしている
  • トゲゾー・・踏めないカメとして甲羅にトゲをつけ、ダメージを受けることがわかるデザインになっている
  • テレサ・・目があうと手で顔を隠してほっぺが赤くなって止まり、マリオがそっぽを向くといないなば〜で動き出す

その中でも一番の自信作は、「オニマス」です。下記インタビューを引用します。

オニマスはマリオを踏み潰すことのできるキューブだが、一面だけ穴が空いている。「空いたところの中には自分が入れるけど、空いていないところだと潰されるんですね。見てたら何が起こるか予測はできるけれども頭で考えると混乱してきて、それをアクションでやるとさらに混乱する。こういうのを考えたときはすごい嬉しいですね」

引用:IGN・生みの親がマリオを語る!宮本茂ロングインタビューより

確かに、一目見ただけで機能がわかるデザインで、さらに遊びの面白さが引き出された敵キャラですね。

宮本茂さんにとってデザインとは?

初代マリオから26年後のwiiで開発された「スーパーマリオギャラクシー」で、「マリオらしいデザインがはじめてことばになった」そうです。開発時のインタビューより語られた言葉を紹介します。

自分のデザインは機能を表すものだ

16×16ビットの制約からうまれたマリオですが、容量が増え、キャラクターを表現できる幅も広がり、ゲーム空間は2Dから3Dに変わっていきました。

その中でも一貫して「マリオ」が行ってきたことは機能からデザインを生み出すことだったと言えますね。

それでは、この記事もそろそろ終わりにします。

宮本茂さんのものづくりに興味をもった方は下記記事も読んでみて下さい!
宮本茂に学ぶアイデアの出し方【星野源も活用!】

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